2017年5月29日月曜日

賞味期限のウソ

おはようございます。先日の東京出張に携帯した本の話です。
今回は栄養学や生理学からは離れて、軽く笑い飛ばせるものを、という気分でした。そこでバッグに入れたのが、『笑う中国人』(文春新書)という本。

その中にあった、魚屋と客の会話。
「この魚、私が先週買ったのと比べると活きが悪いわよ」
「そんなことありませんよ。同じですよ。だって同時に仕入れたんですから」

これは賞味期限というよりは消費期限の話ですね。いくらなんでも、これを食べてはいけないことは誰でもわかります。では、この魚は一体いつまでだったら美味しく食することができたのか、つまり賞味期限となると意外とむずかしくなります。賞味期限の根拠や詳しい内容について知っている人は多くはありません。

『賞味期限のウソ』という本が出版されています。 

表紙の写真に「卵は57日間、生で食べられる!」と書いてあります。
日本卵業協会によれば、卵の賞味期限は、産卵後1週間以内にパックし、パックしてから2週間後の日付です。そして、この2週間の根拠はというと、「夏場に生で食べる」ことを前提にしているそうです。
まさか、そんな人はいないですよね。夏場であれば間違いなく冷蔵庫に入れるはずです。

本にある57日間というのは、気温10℃くらいの冬場であれば、そのくらいは生で食べられる、という意味です。もちろん2カ月を過ぎても、冷蔵保存であれば賞味期限は更に長くなりますし、加熱料理にすればまったく問題はありません。
賞味期限は、あくまでもアバウトな目安です。あまりにも厳格にそれを守ろうとしている人は、知らないうちに大切な食品を無駄にしているかもしれません。

スーパーなどの小売店の多くは、賞味期限よりもっと手前の日に商品を撤去します。賞味期限全体(3週間)の3分の2のところに「販売期限」を設定し、その日になると棚から撤去するという「3分の1ルール」というものがあるそうです。
撤去しても、実際には廃棄せずに、惣菜など調理済食品に回っているのだと思いますが、知る由もありません。

2017年5月23日火曜日

分子栄養学講習・続編②

おはようございます。栄養学講習の2日目は、いよいよ現場に密着した応用編です。
じっさいに加盟店にいらっしゃるお客様(患者さん)は、そのほとんどが何らかの生活習慣病を持った方です。それぞれの疾病に対して、温熱療法に加えてどのような栄養アドバイスをしたらよいのか、時間のかぎり検討を加えました。

今回取り上げたのは、高血圧、糖尿病、高尿酸血症・痛風、脂質異常症、そして動脈硬化、動脈硬化が引き起こす病気、さらには骨粗しょう症、アレルギー、PMS(月経前症候群)をはじめとする女性の体のトラブル、といったことまで学習しました。

今回は、血液検査表をそれぞれ持参していただきました。検査数値から脈圧(心臓が血液を送り出す圧、心臓に掛かる負担の大きさ)や動脈硬化指数のチェックを行いました。
また、5月12日ブログで取り上げた私の検査結果の問題点、その原因の推測、推測の確認、起こしたアクション、という一連の流れを理解していただきました。

この血液検査表を使った学習は、じつは予告編でした。次回、秋に予定している実践編では、血液検査表を分子栄養学的に読み取り、お客様により的確なアドバイスが出来ることを目指しています。
言い方を変えれば、2月の基礎編、今回の応用編も、血液検査表を用いた栄養療法にたどり着くためにやっていた、と言ってもいいかもしれません。

準備も大変になりそうですが、それよりも皆さんと勉強できる楽しみの方が上回ります。
待ち遠しい秋、になりそうです。

2017年5月19日金曜日

分子栄養学講習・続編①

こんにちは。13日(日)と14日(月)の2日間、都内で再び栄養学集中講習を行いました。今回も11名の勉強熱心な受講者と一緒に、密度の濃い時間を過ごしました。

初日は、前回の講習で出来なかったことを学習しました。脂質、糖質、食物繊維、酵素、腸内環境、添加物。

分子栄養学の立場で考えれば、脂質はとりわけ重要です。体をつくる材料として一番多いのは(水を除けば)タンパク質ですが、それに続くのが脂質だからです。
それも、ただ量が満たされていればよいということではありません。何の油で構成されているかという「質」が健康状態を左右するからです。

そこで重要になってくるのが、オメガ3(おもにEPA / DHA)とオメガ6(おもにリノール酸)の比率。この比率を適正に近づけるのが如何に難しいのかを、具体的に食品に含まれる量を引き合いに出して説明しました。

もう一つがコレステロール。これも大切なのはLDLとHDLのバランス。コレステロールがよくないのではなくて、このバランスが崩れたときに動脈硬化のリスクが高まるのが問題です。
講習では、何がそのバランスを崩すのか、逆に何がバランスを整えるのか、ということを学習しました。

それ以外にも、
「なぜ、外食や中食には揚げ物がやたらと多いのか?」
「なぜ、『メガビタミン』があって『メガミネラル』がないのか?」
「なぜ、40歳を過ぎると体は衰えていくのか?」
「高校時代の食物繊維不足が乳がん発症リスクを高める」
といった興味深い話題についても一緒に考えていただきました。

初日の講習終了後は、例によって懇親会。あっという間の3時間でした。
楽しすぎて、写真撮影を忘れてしまいました。
(つづく)

2017年5月12日金曜日

血管年齢&健康診断

おはようございます。昨日、某所で血管年齢の測定をしました。明後日から行う講習のテーマの一つ、「血管の老化」について関心を高めるための一環です。
結果はこうです。
実年齢よりも低いのはよかったのですが、40代を狙っていたので少し残念です。
「8:2」をキープしつつも、まだまだ食事の改善の余地がありそうです。


話かわって、少し前のことですが、3月に受診した健康診断の結果が出ました。それがこれです。
聴力が弱いのは昔からなので仕方ありません。だから声が大きいのでしょう。
それ以外は、ABC評価だけ見ると良好のように見えるかもしれません。ほとんどの人は、ここで「健康そのもの」と安堵してしまうのですね。

しかし、生理学や分子栄養学を学んでいくと、あるいは紙面に表記してある「基準値」の意味を知ると、とても手放しでは喜んでいられません。ある種の大切な栄養素の不足がこの表から読み取れるからです。
具体的なことは追い追い書くとして、ここでは基準値のことだけ触れておきます。

検診で用いられる基準値とは、20~60歳くらいの健康な人(この定義が怪しい)の検査結果をもとに、上限と下限の2.5%ずつを外したもので、残りの95%の人が含まれる範囲を「基準値」とするわけです。
したがって、基準値=適正値 では必ずしもありません。より積極的な予防、健康増進を求める人は、このことを押さえておく必要があります。


ところで私、健康診断に含まれる胃のバリウム検査は毎回パス(拒否)しています。
理由は放射線被曝です。やり方や技師によって時間は変わってきますが、いずれにしても数分のあいだ被曝し続けるのですから、その量は看過できません。

この表が掲載されていた『週刊現代』3月11日号には、以下の記事もありました。

実は患者にはほとんど知られていないが、この技術は日本で開発されたもので、このような検査法を行っているのは日本だけである。世界に広がらない理由は単純で、検査の意味がないからだ。
新潟大学名誉教授の岡田正彦氏が語る。
「バリウム検査で行われる胃がん検診については、ランダム化比較試験(偏りを避け、客観的な治療効果を測るために行う試験)がまったく行われていません。つまり、日本の胃がん検診を受けると余命が延びることを示すデータは一切存在しないのです」

別の識者のコメントで、「バリウムや胃カメラを飲んでも5%しか、がんは見つかりません」とも。

胃カメラについても、私は40歳を最後に受けていません。
理由は「5%」以外にもあります。が、今回はこのくらいにして、それが掲載された記事を見かけたら、そのときに紹介するとします。


明日から東京出張。2月に開催した栄養学講習の続編です。私の健診結果の何が問題なのか、取るべきアクションは? といった実践レベルのことも盛り込みます。
動脈硬化(血管の老化)に関しても、たっぷりと。
勉強熱心な皆さんにまた会えることを、ワクワク楽しみにしています。

2017年5月7日日曜日

8:2 の法則

おはようございます。大型連休も今日で終わりです。琉球温熱の本院では3日~5日の3日間お休みでした。
3日間。通常であれば、栄養学の書籍を片手にじっくり勉強の時間に充てるところです。東京での栄養学講習も迫っていますし。
しかし今回は、気分転換にまったく違う本を楽しみました。

マンガです。焼き物の街、萩(山口県)を舞台にした陶芸ロマン『緋が走る』全15巻。
タイトルの由来は、こうです。

15年くらい前、30代のときに読んだものを、もう一度まとめ買いしての読み返しです。
焼き物も萩の街も大好きな私にとっては興味を引かれますが、こんなマニアックなマンガを読む人は今どきほとんどいないでしょう。当の私が「こんなマンガがあるのか」と驚いたくらいですから。

ストーリー等は書き始めるとキリがないので書きません。
ただ、この中で妙に頭に残っている一場面がありました。

師匠が弟子に指南する言葉。それは、用が8、美が2
「陶芸家たるもの、自分の作品、すなわち美を追求したいのは誰もが同じ。自分の窯を持てばつい作家に走る。だが、それは全仕事量を十とすれば二にとどめなくてはいけない。
夢や理想だけを追えば百人が百人必ず潰れる。現実をしっかり見つめ、残り八は職人に徹す」

芸術を追えば用を足さぬ。用を追えば品位が落ちる。
自分の作品だけで生活していけるのは、人間国宝などほんの一握り。99%の作陶家は、日用的な茶碗や皿、小鉢などを地道に作り続けなければいけない。しかし、用だけに埋もれてしまっては、作品レベルが保てない。
その最適なバランスが「8:2」ということです。

この原理原則は、あらゆる場面で通用する気がします。

これを強引に応用して私が勝手に編み出したのが、
食事における 「8:2」 の法則

 が、予防・健康のことをしっかり考えた食事。栄養素を優先させます。
タンパク質、ビタミン&ミネラルファイトケミカルをしっかり摂り、それに腸内環境のことも考えて、食物繊維善玉菌の豊富な食材を選びます。
一方で、炭水化物はほどほどに。トランス脂肪酸酸化油、有害性が疑われる添加物は、できるかぎり口にしないよう気を配ります。

しかし、何事も禁欲的過ぎるのはよくありません。毎日3食そればかりを考えていては、食事のバリエーションが限られてしまいます。ストレスが溜まり、続かないかもしれません。
そこで、残りので、いろんなものを食べて楽しみます。カレーライス、沖縄そばやラーメンなどの麺類、タコライスやドリアなどご飯もの、年に数回はピザやハンバーガー、牛丼も。

それでも、なんでもOKということではありません。マーガリンやショートニング、合成着色料などは避けるようにしていますし、インスタントラーメン、コンビニ食、酸化油での揚げ物もほぼ食べません。最低限の歯止めは掛けています。
こんなふうに「2」を楽しむことによって、楽な気持ちで健康な食生活が続けられる、と考えています。

ただし、これは予防に備えた場合でのこと。大病を患ったときには 「8:2」 などと悠長なことは言っていられなくなります。
そういう意味からも、日頃から予防に気を使うことをお薦めしているのです。

2017年5月2日火曜日

羊と鋼の森

こんにちは。この1週間は、ある事情でたっぷり読書をする時間が持てました。そこで、久しく接していなかった小説を手に取りました。
タイトルは『羊と鋼の森』。書店販売員が選ぶ本屋大賞、昨年の受賞作です。

「羊と鋼の森」って何のことだかわかりますか?

ピアノのことです。
「羊」は弦を叩くハンマーのことで、羊の毛を圧縮したフェルトというもので作られています。
「鋼」は、もちろんその弦です。
「森」は、ピアノの最大の材料である木材を指します。

では、この小説の主人公はピアニストかというと、そうではなく調律師です。あまり知られていない調律という立場から、ピアノという楽器の魅力と奥深さを描いています。

明るく澄んで、それでいて小気味よいテンポ感のある文体に引き込まれてました。難解なセンテンスや語句がまったく見受けられず、読み進めやすい小説です。
と、書いていてもイメージできないでしょうから、一節を抜粋します。

 なだらかな山が見えてくる。(中略)山だと思っていたものに、いろいろなものが含まれていたのだと突然知らされた。土があり、木があり、水が流れ、草が生え、動物がいて、嵐が吹いて。
 ぼやけていた眺めの一点に、ぴっと焦点が合う。山に生えている一本の木、その木を覆う緑の葉、それがさわさわと揺れるようすまで見えた気がした。
 今もそうだ。最初はただの音だったのに、調律し直した途端に、艶が出る。鮮やかに伸びる。ぽつん、ぽつん、と単発だった音が、走って、からまって、音色になる。ピアノって、こんな音を出すんだったっけ。葉っぱから木へ、木から森へ、山へ。今にも音色になって、音楽になっていく。その様子が目に見えるようだった。

もう少しだけ、抜粋を。

指一本で鍵盤を叩いた。それは基準音となるラのはずだったのだけど、音の伸びる方向にすうっと景色が開けるのが見えた。銀色に澄んだ森に、道が伸びていくような音。そのずっと奥で、若いエゾシカが跳ねるのが見えた気がした。


音を言葉で写しだす表現方法もさまざまですが、この本ではタイトルにもなっている「森」をキーワードにしています。
だんだん蒸し暑くなってきた季節に、一服の清涼感に触れることができました。読後感は温かさに満たされたものでした。あと1~2回は読み返したい本です。


この本を手に取ったのは理由があります。
私はかつて5年弱、楽器店に勤めていました。そのとき調律師ともよく話をしましたが、若気の至りというのか、「調律の何がおもしろいの?」と単刀直入に聞いたことがありました。
その返答はよく覚えていないのですが、おそらくこの本に書かれていたようなことを言いたかったのでしょう。今ごろ納得しました。


話が少し外れますが、調律師が書いた本があります。


この2冊の著者は、私がその楽器店に勤めていたときに大変お世話になった上司です。
宣伝半分ですが、じっさいに読むと興味深い話が満載です。
ピアノを弾く方、ピアノ演奏が好きな方はぜひ。


今回は、本題とは関係のない本の話で終わってしまいました。が、栄養学や生理学の書籍ばかりではなく、心が澄みわたるような小説もときどき必要だと、切実に感じました。