2018年6月21日木曜日

怪しげな本

健康関連本、食事関連本は、毎月多数の新刊が出版され、玉石混交の様相を呈しています。
先日、書店で見つけた本はコレ。
正直なところ、これは「買ってはいけない」本です。

表紙の帯には、こんなフレーズが書かれています。
言ってみれば、常識の逆をいっています。なんか”売れる”臭いがします。
でも、これは「読むと逆効果」です。

それでも、少しだけ中を読んでみると、

×朝食に和食・・・和食は塩分が多いから(えっ、それだけ!)
 和食のプラス面はほとんど触れていません。また、洋食のプラスマイナスに関する記述もありません。
 別のページには、「塩などの調味料は殺菌効果があるので、弁当のうす味はよくない」。昼食であれば、塩分が多くてもよいということでしょうか?

×野菜から先に食べる・・・野菜に含まれるビタミンCやビタミンB群は、空腹時に摂ると体内蓄積時間が少なくなる ???
 では、何から先に食べたらよいのでしょうか? ビタミンB群は、肉や魚、卵、大豆食品など、主菜となりうるほとんどの食品に含まれています。
 ビタミンB群も含まれていないものといえば・・・ご飯(白米)。それでは時代と逆行もいいところです。

×食物繊維たっぷり・・・過剰な摂取はカルシウム、マグネシウム、亜鉛などミネラルの吸収を妨げる。
 これについても別のページでは、「健康的な快便のためには1000kcalに対して10gの食物繊維を摂ることが望ましい。毎日野菜をたっぷり食べるようにしていれば、自然と食物繊維もしっかり摂れるはずです」とまるで一貫性がありません。

 ようは、売りたいがために表紙と帯にショッキングな文言を印刷している、ただそれだけの本です。一部の民放健康番組みたいです。

 たとえば、食品のマイナス面を一つでも見つけて「これは食べない方がよい」と言うのであれば、ほぼすべてのものが食べられません。肉も魚も卵も乳製品も、そして米も小麦も。
 現実的には、食品や食べ方について多くのプラスマイナスを天秤に掛けて、最大公約数的な判断をするしかないと考えます

 そのためには、普段からたくさん勉強するしかありません。上のような本に右往左往されないように。
 この本、もちろん買ってはいません。立ち読みで十分です。
 みなさん、ぜひ良書を選んで読んでください。


 今日から約1週間の研修です。今回は分子栄養学が中心の学科講習。
 受講生は首都圏から3名、県内から1名の計4名。この方々には、上のような本に惑わされない実力をつけていただきたいと願っています。

2018年6月15日金曜日

怪しげなロジック

少し前の週刊誌に掲載されていた記事です。

これについての補足は後日のブログで書くとして(忘れなければ)、今回は別の組み合わせについて、個人的な意見を書いてみます。

「あつあつご飯と生卵の組み合わせ」はよくない、ということを2~3か月前にテレビ番組で取り上げていました。
もちろん答えは となるわけです。

数々の著書で有名な医学博士の白澤卓二氏が解説していました。
「納豆には血栓を溶解させるナットウキナーゼという酵素が含まれる。ただ酵素は熱に弱く、おおむね70℃くらいで活性が弱くなる。あつあつご飯は80℃前後なので、混ぜて食べるとナットウキナーゼの恩恵を受けられなくなる」。
(一言一句同じではありません。だいたいこのような内容のことを話していました)

ん?

ということは、80℃のご飯に混ぜると納豆も80℃くらいまで上昇する、ということか?

であれば、42℃の湯船につかっていたら、その人の体温も42℃に!?

そうであれば、がん患者さんは1回お風呂に入ればガン細胞が消える(ガン細胞は42℃以上で死滅すると言われています)ということになってしまいます。

そんなワケないですよね。

ちなみに琉球温熱療法の施療は、温熱器72℃を標準として1時間前後熱入れし、温熱ベッドや温熱ドームとの相乗効果で体を温めますが、施療前と施療後の体温差は平均で1.0℃前後です。
(相当な個人差がありますが、2.0℃上昇することは滅多にありません)
人体の場合は、体温が一定以上に上がると防御反応で発汗して放熱します。同列には論じられませんが、熱の拡散(移動)とはこの程度のものなのです。

そもそも炊飯ジャーから出したご飯は、その瞬間から冷め始めます。一方、冷蔵庫から出したばかりの納豆は10℃以下、もしくは10数度だと考えられます。
その納豆がご飯と混ぜて70℃以上まで一気に上昇する。これはもうナンセンスとしか言いようがありません。

むしろ、

酵素は37℃から45℃の間でもっとも活動すると言われています。あつあつご飯と混ぜることによって納豆の温度が多少上がり、あわよくば37℃まで上昇してナットウキナーゼの酵素活性がアップすれば儲けものです。
けれども、37℃までも上がらないと私は思います。確かめたわけではありませんが。

2018年6月8日金曜日

課題がまた一つ

3日間の短い実技研修が終わりました。

今回の受講生は、8年前すでに加盟店研修を終えていて、三重県津市で2年間現場に携わっていた方です。その後、「もっと深く学びたい」ということで柔道整復師の学校に通い(3年間)、国家資格を取得、接骨院で経験を積んでいました。

この秋、名古屋で独立開業する予定となり、そのタイミングで琉球温熱も復活させたいという嬉しい知らせをいただきました。
3日間の研修は、約6年間のブランクを埋める再研修という意味合いでした。

3年間、必死に勉強されただけあって、話をしていて私の方が学ぶことも多々ありました。
日頃、生理学をそれなりに勉強しているつもりでも、筋肉系や骨格系は意外と盲点になりがちです。こういう方と話をしていると、その弱い部分が浮き彫りになります。

肩こり一つとっても、「どの筋肉とどの筋肉が、どこでどのようにつながっていて・・・」といったボディメカニクスを知っていないと、効果的な施術ができない可能性があります。
次の課題が見えた、なんだか自分にとって有意義な研修になってしまいました。

この方の店舗は、10月下旬から11月上旬くらいに、名古屋市名東区で開業予定です。

2018年6月4日月曜日

分子栄養学講習③

前回(昨年11月)に続き、今回の講習でも血液検査データの読み取りを学習しました。
タンパク質、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、コレステロールに加えて、初日に勉強した、そして亜鉛の過不足を推定していきます。

栄養素の過不足以外にも重要なことが読み取れます。
たとえば、尿素窒素BUNとクレアチニンCre の相対比から「脱水」または「上部消化管出血」の疑いが浮上します。上部消化管とは、食道、胃、十二指腸のことです。

これがなぜ大事かというと・・・。

脱水は、温熱療法にとって身近な存在です。
温熱療法は、言うまでもなく大量の発汗を促がします。水分補給をしなければ脱水症状を招きかねません。
ところが、ご高齢になればなるほど喉の渇きの感覚が鈍くなってきます。体は脱水に向かっているのに、それでも水を飲みたいと感じなくなるのです。

じっさいに温熱施療をやっていると、終了時に水をひと口もふくんでいない高齢者をしばしば見掛けます。これが非常によくないのです。
血液検査データから脱水を推定できる場合には、念には念を入れて水分補給をお願いすることができます。未然の事故防止策です。

上部消化管出血があると、一定量のヘモグロビンが流出するわけですから、鉄に関する検査データは軒並み下降します。
この場合の対策は、とにかく鉄を入れろ、にはなりません。入れることも大切ですが、流れる方を止めなければいけません。
つまり、上部消化管出血は摂取不足ではない鉄欠乏の推定に役立ちます


このパターンは、タンパク質でも近いケースがあります。
今回の受講者のなかに、食事ではしっかりタンパク質を摂っているはずなのに、検査データでは相当なタンパク不足が見られた方がいました。
考えられるのは消化不良です。摂っている程に吸収されていない可能性があります。

もしそうだとしたら、打てる手は「もっと入れろ」ではなく、消化の改善です。
消化酵素を飲むのもよし、腸粘膜のエネルギー源であるグルタミンを入れるもよし。あるいは、卵は半熟で、消化にすぐれた納豆を強化、など調理法や食材で消化を改善するのも一つ。
もちろん、腸の熱入れは欠かせません。

このように血液検査データを読めるようになってくると、少しずつお客様に的確なアドバイスができるようになります。
かく言う私も、まだまだ勉強不足。意識を共有する加盟店同志の方たちと、今後も研鑽を積んでいきたいと考えています。

2018年5月30日水曜日

分子栄養学講習②

講習初日終了後は恒例の懇親会。3時間近く、それぞれ思いのたけを語りまくり、または笑い飛ばし、翌日への鋭気を養いました。
分子栄養学講習・実践編。2日目の大きなテーマは、メンタルおよび脳の疾患について。
具体的には、うつ、パニック障害、自律神経失調症、統合失調症、認知症、パーキンソン病、てんかん、などです。

琉球温熱療法院にいらっしゃる方の疾患は、がんや糖尿病、または高血圧や動脈硬化、動脈硬化が引き金の心臓病や脳卒中といったものが多数を占めます。
メンタル疾患というと、ややもすると縁遠いようにも感じます。

しかし、アメリカを源流とする栄養療法(オーソモレキュラー)は、そもそもは精神疾患の治療から始まり、領域を広げてきたという歴史があります。
その理由はわかりません。これは私の推測ですが、がんや糖尿病が紛れもなく全身病であるのに対して、脳という限定された部位の疾患のため栄養摂取の効き目が出やすいのではないでしょうか。

メンタル疾患に必要な栄養素は、タンパク質(なかでも、うつ・パニック障害の場合は、必須アミノ酸であるトリプトファン)、初日に勉強したビタミンB群(とくにB6は大切)がまず挙げられます。
疾患によっては、これにコレステロール、ビタミンE、亜鉛といった栄養素が加わります。

前回(昨年11月)と今回の講習で「血液検査表の分子栄養学的な読み解き方」を学習していますが、これを使えば上記の栄養素はすべて、その過不足を推定することができます。
講習を受講してマスターした方は、メンタル疾患のエキスパートへの第一歩を踏み出した、と言えるでしょう。



もちろん、温熱療法もメンタル疾患と無関係ではありません
メンタル疾患を抱えている方のほとんどは、ストレスや不眠などで自律神経のバランスを崩して、交感神経が優位になっています。交感神経が優位な状態では、血管は収縮して血流が滞ります。
つまり冷えがあるということです。「冷えは万病の元」はここでも当てはまります。

また、アルツハイマー型認知症のように、血流の悪化が症状を促進していると考えられる疾患もあります。
そして何より、上に挙げた栄養素も、毛細血管を流れて末端の細胞までしっかり届かなければ効果半減になってしまいます

メンタルおよび脳の疾患においても「熱と栄養」がカギであることに変わりありません。

2018年5月25日金曜日

分子栄養学講習①

20日~21日の2日間、都内にて「分子栄養学講習・実践編」を開催しました。昨年から続く連続講座で、今回が4回目です。

当初は、このように何回も行う予定はなかったのですが、受講者の皆さんの旺盛な学習意欲に乗せられて、「次もやろう。もっと突っ込んだ内容を、少しレベルを上げたことにもチャレンジしよう」という気になり、ここまで到達しました。

じっさいに、向上心溢れる方々に囲まれて一緒に勉強するのは、私にとってもテンションマックスの時間です。その日が近づくにつれて、準備作業に追いまくられながらも、気持ちの高ぶりを抑えられません。

今回は、初回から学習を積み上げている加盟店関係者に加えて、新しいメンバーが3名加わりました(4/17付ブログで紹介)。むずかしさもありましたが、新鮮な息吹を感じながら進めるのも、これはこれで楽しいものでした。


初日、重点的に学習したのは「鉄」
三石分子栄養学の3本柱は、①メガタンパク ②メガビタミン ③スカベンジャー (5/7付ブログ)ですので、ミネラルに属する鉄は、後塵を拝しているようにも思えます。

しかし、分子栄養学が目指すところの一つが「代謝アップ」であることを考えれば、鉄欠乏の状態でそれを達成することは到底かなわないと言わざるをえません。
鉄のもっとも重要な役割は酸素の運搬。ヘモグロビンに結合する鉄が不足すると、体の末端まで酸素が届かなくなります。

これはエネルギー代謝が滞ることを意味します。このエネルギー代謝こそが生命活動の根幹であり、生物にとってもっとも大切な代謝はエネルギー代謝だからです。
ここに、ビタミンCやEと同様、鉄に関しても時間を掛けて学ぶ必要を感じます。

多くの受講者には、予備学習として『貧血大国・日本』(山本佳奈著)および『うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった』(藤川徳美著)、近著である『最強の栄養療法「オーソモレキュラー」入門』(溝口徹著)を読んできていただいたので、掘り下げた内容で、かつ活発なやりとりのある時間となりました。

貧血を見る血液検査項目としては、赤血球RBCヘモグロビンHbが知られています。この2つは多くの健康診断でも含まれています。
これで鉄の過不足が判断できれば問題ないのですが、実際にはそうもいきません。そこで、さらに幅広い知識が必要になります。

上の2つ以外に鉄の過不足を推定できる項目として、フェリチン(貯蔵鉄)があります。フェリチンは、小腸上皮細胞や脾臓、肝臓、肺や膵臓などに貯蔵されている鉄のことです。
フェリチンの項目があれば、RBCやHbでは見えてこない潜在的な鉄欠乏が明らかになってきます。

ただ、①フェリチンは基本的にオプション検診のため血液検査表にない場合が多い ②フェリチンは体内で炎症を起こしている場合には大きく上昇する、といったことがあり、さらに他の項目に頼らなければいけないケースが出てきます。

他の貧血に関わる項目としては、Ht(ヘマトクリット)、MCV(平均赤血球容積)、MCH(平均赤血球ヘモグロビン量)、MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)、さらにはFe(血清鉄)、TIBC(総鉄結合能)、UIBC(不飽和鉄結合能)といったものもあります。

これらを組み合わせて鉄の過不足を読み解きます。さぞかし難しそうに思えますが、一度読み方を覚えてしまえばそうでもありません。
鉄欠乏でエネルギー代謝が滞れば、ありとあらゆる不調を引き起こす可能性があります。受講された皆さんがそれを見抜いて、現場でカウンセリングしていただくことを願っています。


今回は、講習に集中するあまり、写真をまったく撮っていません。
まあ4回目ですし、いつも同じような写真なので、あらためて載せるまでもないでしょう。
(つづく)

2018年5月15日火曜日

GWに読んだ本③

もう1冊、連休に読んだのがコレです。
せっかくのGW、栄養学と生理学の本だけではもったいないですので。

帯に写っている著者の背景は、パリ・オランジュリー美術館の「睡蓮の部屋」。
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             オランジュリー美術館・入口

卵型の部屋に晩年のモネが描いた超大型の「睡蓮」が4枚。これが2部屋並んでいます。
数少なくなった「生きているうちに、どうしても観たい絵」の1つ(計8枚)です。

ちなみにモネは200枚前後の「睡蓮」を描いています。どれ一つとして同じものはありません。
国内には12箇所の美術館に所蔵されています。

モネが描写したかったのは、「睡蓮」ではなくて「水面」です。光の微妙な違いがもたらす色彩の移ろいが水面に映し出されています。 




前回の「体内時計」の関連記事が地元紙に載っていました。
激務等による平日の睡眠不足と、それを補う週末の寝だめを繰り返す睡眠変動のことを「社会的ジェットラグ(時差ぼけ)」と呼ぶそうです。
たしかに週末の寝だめで睡眠時間の帳尻は合いそうです。

しかし、これはもう体内時計が不安定になります。すると、自律神経やホルモンのバランスが崩れて、そこから肥満、血糖値の上昇、心の病など、あらゆる不調を引き起こします。
朝の光を浴びて体内時計をリセットすることも大切ですが、記事には夕方以降のブルーライト(パソコンやスマホなど)が体内時計を後退させる、とも書かれています。

私も、若い頃は体内時計が乱れまくった生活でしたが、若かったゆえ何とか病気にならなかっただけだと考えています。
現在、早寝早起きは問題ありませんが、夜のスマホ・・・そんなに長くはありませんが、もう少し控えたほうがいいかもしれません。


しっかりと体調を整えて、週末からは東京で栄養学講習です。